東洋医学・医療

大内転筋て思ったより幅が広い

大内転筋を刺激する

内転筋はたびたび「内転筋群」とひとまとめにされがちであるが、1つ1つ見てみると意外に面白いものだ。
特に大内転筋はハンター管との関連もあり、下肢症状、ならびに腹部臓器由来の浮腫や症状との鑑別でよく理解しておくと非常に役立つ。

<大内転筋>
起始:恥骨下枝、坐骨枝、坐骨結節、
停止:深部(筋性の付着);粗線内側唇
   浅部(腱性の付着);大腿骨の内側上顆(内転筋結節)
作用:股関節における内転・外旋・伸展、
   *腱性の付着部によって股関節の内旋
   前頭面と矢状面での骨盤の安定
神経支配:深部;閉鎖神経(L2-4)
     浅部;脛骨神経(L4)
大内転筋(内、外)は大腿部内側区画の内転筋群の筋肉で、大腿部内側に位置する大きな三角形の筋肉。大内転筋には骨に付着する腱弓によって形成される複数の骨腱膜性の開口部があり、血管の通路となる(ハンター管)。

図1:筋肉のみ抽出。大内転筋を反転、右図は他筋肉をフェード

体表からの観察のみでは筋腹はわずかかもしれない。しかしこうしてフェードして見てみるとハムストリングスを包むような形で深部に位置しており、面積からして作用の大きさが伺える。

手技などで触知する場合、ただ狙いにいくとわかりづらい
伏臥位:膝屈曲、股関節内旋位をとると大内転筋があらわになる。大腿に対して内後方から筋腹をイメージしてアプローチすると触知しやすいだろう。

大内転筋のねじれ

大胸筋や広背筋と同じく、これも四足歩行の時代からの名残であろう。
後ろから前へ向けてのねじれが入っている。犬や猫といった、四足動物の肢位になるとねじれは取れる。塀を飛び越えたりする時に後ろ足を力強く蹴り、後方かつやや内側への力のベクトルがかかることで前方への推進力となる。

二足歩行でのfiring sequenceはまだ勉強不足であるが、おそらくこうではないかと思う。
遊脚期→踵接地→立脚→下腿三頭筋→ハムストリングス→大内転筋→臀筋群
*伸展筋、かつ大筋群のみ考察

ハムストリングスは初期から発火するが、骨格構造的に下肢は内反内旋しやすい。そこを外旋と伸展の作用の大内転筋が底支えのような形で発火し、強力な股関節の伸展筋である臀筋へと移行していく。

作用としても構造的な位置としても非常に理にかなっている。

ハンター管と大内転筋


 

 

 

 

 

*プロメテウス解剖学アトラス[解剖学総論/運動器系]より

<ハンター管(内転筋管)>
構成:前部;広筋内転筋膜
   内側;縫工筋
   外側・前部;内側広筋
   後部;大内転筋、長内転筋、
通過:大腿動脈、大腿静脈、伏在神経、下行膝動脈、(後者2つは広筋内転筋膜を貫通)
大内転筋のみ図示されているが、大内転筋の腱膜が内側広筋に下りてきて内側にへばりつき、できる構造上の管が内転筋管である。下部に見える大きい通過口は内転筋腱裂孔。ハンター管下部では広筋内転筋膜が通過する血管を固定している。
また、伏在神経は下行膝動脈とともに広筋内転筋膜を貫通して膝関節内側へとむかう。

下肢に浮腫がある場合、ハンター管を含めた絞扼しやすい部位での静脈絞扼がないか、高位の把握、をすると判別がしやすい。
また、ハンター管での限定的な絞扼があった場合には同時に伏在神経も締め付けられるため、膝内側のなんとも取れ難い痛みが出てくる。

解剖学的な筋の理解と把握、的確な触診技術が必要となるだろう。

本日の学び

・内転筋の本来の大きさと幅から、機能と影響力を鑑みる
・大内転筋のねじれは構造的に理にかなっている
・ハンター管との関連、その周囲の構成筋と通過物を理解することで浮腫の鑑別に役立つ