東洋医学・医療

子宮内膜の脱落膜化

子宮内膜の脱落膜化、内膜の変化として重要であり基礎となる部分。
なんとも難しく、しかしそれでも昨今の注目となっているCEやNK細胞活性などの理解に必要そうなのでまとめておきたい。

まとめのメインは北宅弘太郎先生のブログ着床不全・着床障害 傾向と対策を大変参考にさせて頂いている。

・脱落膜化
・プロゲステロン
・内膜線維芽細胞
・内膜上皮細胞

脱落膜化の特徴

そもそも、脱落膜化とはなんであるか?

子宮内膜の脱落膜化

子宮内膜間質細胞が着床に伴い、形態学的および機能的に分化をする過程。着床・妊娠後には胎盤の一部となる。

脱落膜化した子宮内膜には着床の大部分を担うほどの大きな役割がある

  • 能動的に良好胚を認識し選択する能力(Sensor of Embryo Quality)
  • 内膜上皮細胞から糖質が分泌され、胚と内膜の接着に強力な役割(特に高分子糖鎖)を果たす
  • 通常作られない分子(糖質や炎症性物質など)を合成・分泌し始める

などである。

この脱落膜化にはプロゲステロンが必須となる。
エストロジェンも重要な要素であるが、プロゲステロンがトリガーとなっているという考えが有力だ。

胚の選択能

そもそも、人間の生殖確率はMFR(Monthly Fecundity Rates:月経周期毎の妊娠率)で言えばほんの20-30%程度である。
着床を志す受精卵のうち、実際に着床に至るのはそのうち半数程度であり、さらにその半数以上がその直後に失われてしまう。

胚の質などの問題もあるが、要因の1つとして、内膜側からの胚の淘汰、というものが考えられる。
発育停止した胚盤胞が脱落膜化した内膜に近づいた場合、着床に必要なILなどの分泌を阻害する動きが見られる。
また、良好胚の培養液を内膜に暴露すると、代謝や着床過程に関連した多くの遺伝子の発現が有意に上昇する。

つまり、内膜は良好・不良に関わらず胚とのコミュニケーションをとっていると考えられる。
そこからさらに細胞活性や内膜自体の変化を起こすのだ。
ただ受け入れるだけではない。内膜も能動的に胚を認識している。

排卵後に増える成分・分子

増殖期は基本的には純粋に子宮内膜の厚化に努め、排卵後になると内膜では上皮細胞は増殖を止め、さまざまな分子(糖質や炎症性物質など)を作り始める。

糖  質:内膜と胚の接着
炎症物質:胚を内膜へ引き寄せる。ケモカインなど。
これらの糖質や炎症性物質が胚着床に重要な役割を果たすと考えられている

白血球
循環血中の白血球はわずか5%未満。ほとんどは臓器に分布し、免疫応答だけでなく、生理的作用に深く関わっている。内膜にも多種多様な白血球が存在している。

内膜の白血球の変動

排卵後→急増
着床期→夥しい数に
月 経→内膜の脱落とともに流れる
着 床→胎盤完成時期まで増加し続ける

内膜線維芽細胞の変化が正しく起こらないと、通常と異なるパターンの炎症性分子の分泌と白血球の遊走能を増加させることが明らかにされており、異常な内膜の形態変化と炎症が誘導される結果、胚盤胞の着床に不利に働く可能性がある。

周期における内膜の変化

低温期:卵胞期:増殖期

月経〜排卵期に向かい、表面上皮細胞の数が増え厚みを増すこの時期は「増殖期」と呼ばれる。
VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)によって血管は著しく成長し、血流量も増加、内膜組織の増量が起こる。
このVEGFの増加に最も重要な分子がエストラジオール(E2)。

高温期:黄体期:分泌期

排卵後の黄体が主体となって体温が上がるこの時期を「分泌期」と呼ぶ。
分泌期には、血管壁が厚くなりコイル状に発達する。これによって分泌期、特に中期(着床期と推定される時期)には血流量・速度は減少、酸素の拡散が抑制、子宮内腔への酸化ストレスが減少することが推測される。この低血流状態は妊娠初期の間は維持される。
つまり、着床期の内膜の血流量はそれ以外の時期に比べて少ないとされる。

子宮内腔は大気中に比べて酸素が薄い(酸素分圧が低い)ことが実際に明らかにされており、胚の分割も酸素濃度が低い(約5%程度)方が進むとされている。
*空気中の酸素濃度は約21%

また、着床時には主にプロゲステロンによって細胞の変化誘導が起こり、内膜線維芽細胞が肥大し、胚を受容できる状態にさせる。(胚盤胞はこの内膜線維芽細胞の間に潜り込む)

しかし、中にはプロゲステロンが十分量あるにも関わらず脱落膜化が起こらない事もある(内膜プロゲステロン抵抗性上昇)。
EM、PCOSの患者で特に問題とされる。
*PCOS患者の約3分の1に、内膜間質繊維芽細胞のプロゲステロンに対する形態変化が鈍いという報告もある。

周期でのまとめ

増殖期:血流の増加が大事。E2が大きく影響。内膜線維芽細胞の肥大。
分泌期:血流・酸素濃度の増加は逆効果。排卵後はP4が重要視され、脱落膜化を引き起こす。

排卵期(胚移植決定期)までに十分なE2を分泌させる(または補充すること)が重要。
分泌期には十分なプロゲステロン量と、内膜の反応性が良いことが大切。

表層の内膜上皮細胞が胚盤胞の接着に作用し、内膜線維芽細胞内に潜り込み、着床、妊娠へと移る。

もう一度、特徴をまとめる

脱落膜化の特徴

1. 分子産生の変化
2. 内膜上皮細胞(胚盤胞が最初に接着する細胞群)からの分泌物の増加
3. 内膜線維芽細胞の肥大
4. 細動脈の増加
5. 白血球の侵入

本日の学び

・増殖期は細胞の増殖、内膜の厚化、血流の増加
・分泌期は脱落膜化、血流・酸素濃度の低下、
・緻密な変化が妊娠に大きく影響する