薬学・漢方

薬での鑑別

日本の私の恩師が口酸っぱく言っていた。

あなたも医療職なんだから、基本的な薬くらいわかっておきなさい。
鍼灸師は自己中ナルシスト。他の医療職からどう見られるかを考えて行動しなきゃ死にます。

当たり前だが、鍼灸師として死ぬ、ということである。

鎮痛薬の基本と鑑別

「腰痛が激しくて病院に行って、薬で痛みが取れた。でもだんだんと効かなくなってきたんだよね」

薬は何を出されたのか?この人はどういった状況なのだろうか??

多くの場合、初期炎症にはNSAIDs系、代表的にはロキソニンが処方される。

ロキソニンの作用と効果について:
炎症を引きおこすプロスタグランジンの合成を抑え、炎症に伴う腫れや痛みをやわらげ、熱を下げます。
くすりのしおりより 第一三共株式会社ロキソニン錠60mg

これはつまり、腰痛の悪化ではなく、炎症性の腰痛から筋-筋膜性腰痛への変位、ということである。鍼灸師においてはこれほど良いものはない。むしろ、この時ほど鍼灸が効果的

薬の効く効かないは症状の悪化の場合もあるが、適応不適応でのことが多々ある。
漢方も同じく。効かないのは漢方のせいではなく、処方が間違っているからである。
そう思えば、鍼灸も同じか、、、、

鎮痛薬は効かないこともあるが、下記のように鑑別に使える。

抗炎症鎮痛薬(NSAIDs系etc…)
→炎症由来の疼痛を和らげる、プロスタグランディン産生抑制薬

神経性疼痛治療薬(リリカ、タリージェetc..)
→神経障害性の疼痛を和らげる、カルシウムチャネル阻害薬

抗うつ薬(SSRI、ジェイゾロフト、サインバルタetc..)
→中枢性下行性抑制系の鎮痛作用

各種薬剤が効かない場合は、上記を考慮した鑑別ができる。
*例外(慢性疼痛、線維筋痛症など)においてはこの限りではない。

ちなみにジェネリック医薬品はスペイン語で Medicamentos similares(似ている薬)である。メキシコには、この名前を冠して“シミさん”という着ぐるみのキャラクターが薬局の前で踊っている。

時々、よく見ると口の中から中の人の目が見えることがある(怖
ミッキーの中の人が見える感じですね。また出会う機会があれば激写してきたいと思う。

薬の効果の有無での鑑別

上記に続いてもう少し。考えを臨床に持っていきたい。
場合場合において、どんなことが考えられるだろうか

NSAIDsが効く/効かない
→効くのであれば炎症は治まっている
→効かないのなら炎症以外の要因での痛み
→消化器系症状が出るのであれば副作用の可能性
→ずっと飲んでいてずっと効いているのなら慢性的な炎症がどこかにある可能性
→RAでMTX服用の方は注意

プレガバリン(リリカ)が効く/効かない
→効かないのなら神経性の痛みではない
→同じ場所でも神経炎症がおきている場合、リリカが著効の時とNSAIDs著効の時がある
→効いたのなら主訴は薬に、副次的な筋緊張を鍼灸で対処できる
→帯状疱疹後神経痛や坐骨神経痛。線維筋痛症にも使われることがある
→そもそも坐骨神経痛なら鍼灸でいいんじゃない?

抗うつ薬が効く/効かない
→効いたなら神経経路由来の痛みの可能性
→セロトニン/ノルアドレナリンの再取り込みに関与
→抗うつ薬の鎮痛目的の処方は保険適用外
→上/下系抑制系、並びに内因性鎮痛の鍼灸効果の論文は多々あり、ここにも一役かえる可能性
→抗うつ薬を飲むようになって痛みが取れた、と言う人もよくいる

NSAIDsとは

改めて考えるとよくわかっていないかもしれない。非ステロイド系鎮痛薬、とは言うが一体なんなのか?
代表的で頻繁に効くのでこれだけ復習しておきたい。

NSAIDs【Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs】

アラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、プロスタグランジン類の合成を抑制。
プロスタグランジンE2(PGE2)は起炎物質・発痛増強物質であり、NSAIDsは主にPGE2の合成抑制によって鎮痛・解熱・抗炎症作用を発揮する。

カスケード全てを覚えることはできないが、見ておくと勉強になる。

・NSAIDsを使ったところで、LT類(ロイコトリエン)によるアレルギー様の作用は残る。
・(記載はしていないが)PGF2αの作用に子宮収縮がある為、妊婦や子宝を望む人に対しては禁忌

などを考えることができる。
何より、「カスケード」とか言ってるとなんとなくかっこいい、、、

薬を調べること

薬を検索する場合においては「商品名」ではなく「薬剤名」での検索が望ましい。
新薬は出続け、ジェネリックも多い昨今、薬剤名で覚える方が適応を把握できる。

漢方ももちろんそうだ。
むしろ漢方と鍼灸は共にすべきであり、鍼灸師だから漢方がまったくわからないのは恥だろう。
これからきちんと調べていきたい。

漢方を習うことで、その作用機序や効果といったエッセンスを鍼灸治療に取り入れることができる
—かまーちょ

危険なことを知りつつ行うのが最も安全
—ナースの法則200ベテランナースのよりどころ 法則169

本日の学び

・薬は鍼灸師の管轄外ではない、検査に鑑別に使える
・おおよその効果・効能・機序はなんとなくでもわかっておく
・習っていないのだから知らないものは知らない。出会うたびにきちんと調べる